サイトリニューアルの進め方について、考えをまとめるため書いてみます。
大手クライアントではなく、中小規模の会社のサイトリニューアルをイメージしています。
もくじ
サイトリニューアルの進め方 ポイントになる10項目
サイトリニューアルを進めるにあたり10項目にわけました。
各項目についてはざっくり押さえる程度とし、詳細については追って書いてみようと思っています。
01.ヒアリング
サイトリニューアルの目的をヒアリングします。
「デザインを刷新したい」、「スマートフォンに対応したい」、「アクセスを伸ばしたい」、「店舗へ来店してもらいたい」などリニューアルの目的はさまざまです。「なんでもいいからリニューアルしたい」という相談もありました。
ですが、その言葉通り受けとってはいけません。
クライアントとの会話から聞き出す力
自分自身がクライアントの業種のプロではないため、業界特有のルールや考え方などクライアントから「聞かせてもらう」という視点が大切になります。
また中小企業の場合、担当者が他業務と兼任だったりするためWebについての知識・スキルにばらつきがあります。ヒアリング側はその点も踏まえ、近年のサイト構築の考え方(レスポンシブやCMSなど)、リニューアルの進め方、SNSの活用方法など共有しながら、本当に必要な機能やコンテンツを引き出していく必要があります。
ヒアリングシートの活用
私はヒアリングシートを使っています。
打ち合わせ前にデータでご連絡し「こうった事を確認させてもらいます。わかる範囲で構いませんので検討しておいてください。」といった形でご連絡し、お会いした時に項目説明をしながら埋めていきます。
確認漏れの防止
ヒアリングシートがあれば、その場で解答が得られなくとも確認事項として共有できます。
ただ、ヒアリングシートはとっかかりであり、そのヒアリング項目や話題から本質的なニーズを聞き出す、もしくは自身が気づく事が重要になります。
機能・仕様の確認
最終的にエビデンス(証拠)として機能させるので、最低限のリニューアルに伴う機能面、仕様的な側面も確認しています。
公開予定日や、CMS導入の有無、対応端末、htmlやjsなどのバージョン等です。
エビデンスとして共有
制作会社によって進め方はさまざまありますが、中小企業のでサイトリニューアルの場合、形式ばった仕様書はあまり作る事はありませんでした。ただ、自分たちを守る意味でもエビデンスとして残していく必要があります。
また、引継ぎ時に役に立つ事があります。
02.現状把握と競合調査
ヒアリングから方向性について確認できたと仮定します。
次は現状把握と競合調査です。
現状サイトの把握
ヒアリングの延長になりますが、現状サイトについての状況を把握します。
計測ツールからのデータ解析やクライアントの担当者との会話から課題がみつかったり、リニューアルのヒントになる事もあります。
アクセス解析
中小企業ではGoogleアナリティクスを利用している会社が多いと思います。
アカウントを共有してもらうか、アカウントの追加をしてもらい確認しましょう。あわせてGoogle Search Console(サーチコンソール)の状況も確認しましょう。
リニューアル後の成果判断の材料にもなりますので、設定不備などあるようなら対応する必要もあるかもしれません。ただ、コンバージョン回りの設定については深い知識も必要となりますので、自身で設定できる範囲を理解し、専門性が必要な場合は外部の協力など考慮しておく必要があります。
SEO対策状況
SEO対策を行っている企業もあるかと思います。サイトリニューアルする場合、SEO業者側との調整が必要になる場合もあります。
クライアントとSEO対策の状況確認、SEO業者との契約内容について確認しましょう。
仮にSEO対策がうまくいっているようであれば、リニューアルは慎重に行う必要があります。場合によっては、SEO業者を交えリニューアルの進め方を検討する必要もあります。
ネット広告の出稿状況
SEO対策と同様、外部委託している可能性もありますのでクライアントに確認しましょう。
ネット広告にどれくらいの予算をかけているか、またどんなワードで出稿しているか、またその成果について確認しましょう。
アフィリエイトへの出稿もあるようなら同様に確認します。
SNSの利用状況
今ならFacebook、Twitter、Instagram、LINEあたりでしょうか。
リニューアルを進めていく時や、リニューアル後の影響など考慮する必要があるため、どのように運用しているか把握しておく必要があります。もしかしたら、サイトとSNSツールの連携などについて提案が必要になるかもしれません。
お問い合わせ状況
お問い合わせの現状、その流入元やコンバージョンまでの経路、件数について話を聞かせてもらいましょう。Webからのお問い合わせだけでなく、電話の件数や他の媒体(DMなど)についても確認します。
ECサイトであれば、新規購入やリピート状況、定期購入などさまざま考慮していく点がでてきます。
競合サイトの調査
クライアントの業種から想定される検索ワードからの検索結果上の位競合サイト数社、広告出稿をしているサイトを重点的にチェックしましょう。
抽出した競合サイトから、それぞれのサイトの独自性や強みを分析します。サイトデザイン、カラー、タイトルタグやディスクリプション、広告出稿しているキーワードなどからどういった層をターゲットにしているか推測することもできます。
あわせてクライアントが意識している競合サイトや、気になるサイトもヒアリングします。
このような情報からリニューアルに必要なコンテンツや、クライアント企業の差別化など検討していきます。
03.サイトリニューアルのゴール設定
サイトリニューアルの成果を計測するためにゴール設定が必要です。
サイトリニューアルが成功したのか失敗したのか判断するためにも、しっかり検討し具体的な内容を数字で目標設定するようにしましょう。
よくゴール設定される項目で、これらに具体的な目標値があてられる場合が多いです。
- サイトから1ヵ月○件お問い合わせを獲得
- 直帰率を○%下げる
- 1ヵ月の新規会員登録○件
- サイトからの売上○%アップ
- ユニークユーザー数の増加
04.スケジュール設定
どの段階でスケジュールを引くかによりますが、ヒアリングが終わった段階でおおよそのサイト規模感や必要機能がわかると思います。そこから仮のスケジュールを組んでみるといいと思います。コンテンツ内容や素材手配などスケジュールが読み切れないような場合は、課題となりそうな点を考慮しスケジュールをクライアントと認識あわせをしておく必要があります。
クライアントの希望日程と構築に乖離がある場合、段階をわけてリリースする提案が必要になるかもしれません。
デザインのチェックとフィードバック
クライアント側のデザイン承認フローを確認しておきましょう。
担当者は窓口対応のみで他部署や代表の承認が必要なケースも多く、デザイン提出後のフィードバックにどれくらい時間がかかるか考慮しておかないと、どこかにしわ寄せがでます。
05.サイトの設計
現状把握とそこからみえる課題、競合調査などの情報からゴール設定ができたと仮定します。
その課題を解決しゴールへ向かうためのサイト設計を進めます。
サイトのユーザビリティや、導線設計、SEO対策など考慮していく必要があります。
サイトツリー
現行サイトの状況把握、競合調査の結果を基にコンテンツを検討します。
コンテンツの検討が済んだら、サイトの全体構造がわかるサイトツリーを作ります。
コンテンツリスト
コンテンツリストもあわせて準備します。
デザイン制作、コーディング後などのチェックリストとしても機能します。
各ページのリニューアル後のURL、タイトルタグ、ディスクリプションなどの項目もあわせて検討しておきます。
06.ワイヤーフレームの作成
パソコンだけでなくスマートフォンのワイヤーフレームも必要となります。そのため数年前より工数がかかります。
このワイヤーフレーム作成のボリュームを見積に反映させる場合、クライアントにその金額の妥当性を理解させる必要があります。
このあたりは、制作会社の進め方と考え方によるところです。
ワイヤーフレームの作成のポイント
ポイントは「デザイン要素を入れない」というところです。
中途半端にデザイン要素が入ってしまうと、クライアント判断がコンテンツ内容よりデザインの方へ向いてしまいます。このワイヤーフレームの段階で、しっかり魅力あるコンテンツとなるよう議論しましょう。
07.デザイン制作
スマートフォン対応や、Wordpressテンプレートを利用したサイト構築も多くなりWebサイトの設計が割とパターン化してきています。
パターン化が進むことで、ユーザーが使いやすく目的の情報にたどり着きやすいというメリットは大きいと思っています。画一的で面白味はないかもしれませんが。
こういったアクセシビリティ、ユーザービリティを踏まえ、どのように情報をユーザーに届けるかという視点がデザインに求められます。
08.コーディング作業
ベースとなるデザインの承認がおりた段階から、テンプレートコーディングを進めていきます。
以降、デザイン制作とコーディング作業が平行に進行する場合が多いです。
レスポンシブでの表示、主要な動作確認については早い段階からクライアントと画面共有しながら調整を進めます。
テンプレートの構築ができれば、あとは横展開するページとなりますので、漏れのないようタスクをこなしていくことになります。
09.成果物のクライアント確認
公開に向けて、成果物をクライアントに確認、最終確認をしてもらう必要があります。
現実には、素材手配の遅延やコンテンツ内容の修正などで「ある程度まとめつつ複数回に分け確認」、「完了したコンテンツから随時確認」といった形になる場合がほとんどです。ただし、重要コンテンツ、動的コンテンツについては早い段階で確認していく方が対処に余裕が持てます。
リニューアル終盤でコンテンツの修正や変更が必要となる場合、公開日時に間に合う修正か、公開後の対応でも問題ないか検討し対応を決める必要があります。
また、問題が起きないよう進める前提ですが、万が一公開日に問題が発生した場合の対応についてクライアントとすり合わせをしておきましょう。
10.サイト公開
公開作業は、データの上書きであったり基本認証の解除であったりサイトリニューアルの状況によります。仮に問題が発生した場合は、事前に決めたフローで対応を行います。
お問い合わせフォームや、投稿機能など動的処理のあるコンテンツについては公開後のテストを行うようにしましょう。また、アナリティクスなどの計測ツールの動作も忘れずに確認しましょう。
基本的に公開日はすぐ対応できる状態にしておく必要があるかと思います。
サイトリニューアルの進め方の振り返り
頭のリハビリで書き起こしてみたがどうだろうか。
基本的なことばかりですが、今の時代の流れにあわせられているだろうか。
自分で読み返してみて修正、変更、加筆を行いますのでご了承を。