ヒアリングは、単にサイト制作に必要な情報であったり、ビジネスモデルなど本質的な課題を見つける、気がつくためのヒアリングだったりします。新規でサイト構築する場合とリニューアルの場合では確認する項目が変わる点もありますが、概ねこんな感じかなといったところかと思います。
表現をかえることでまとめて確認できる事もあると思いますし、すべて聴く必要はないかもしれません。
そのあたりは、状況次第で各々の判断になると思います。
もくじ
課題発見のヒアリング
主にクライアントの会社、業務フローなどについてヒアリングさせてもらいます。
ビジネスモデルについて
「関係者」「取引の流れ」「商品の流れ」「お金の流れ」など、クライアントの会社全体にかかわること。自分たちがどの部分で力になれるか、サイトリニューアルで解決できる課題なのかなど、さまざま議論の材料になります。
クライアントが本当に必要としているもの、クライアントのお客さんが必要としているものがみえてくるかもしれません。
私自身勉強が必要ですが適当に聞いても意味がないので、しっかり聴かせてもらう必要があります。
クライアント企業の強み
競合他社と比較した場合、クライアント企業の強みは何でしょう。
クライアント企業では気づいていない強みとなるポイント、ヒントをみつけられるかもしれません。
クライアントが意識している競合他社
競合として意識している企業をヒアリングします。
また、どういった点で競合と考えているかその競合企業の強みなども聞かせてもらいましょう。
サイトリニューアルのためのヒアリング
具体的にサイトリニューアルをすすめていくため必要となる情報です。
サイトリニューアルの目的・期待する効果
サイトリニューアルの目的をヒアリングします。
クライアントの言葉で、イメージアップ、認知アップ、売上げ向上、会員登録、商品購入など漠然としていてもクライアントがサイトリニューアルに期待することを聞かせてもらいましょう。この内容はゴール設定の材料にもなります。
ターゲット
今は「ペルソナを設定しましょう」など云々ありますが、ターゲットは誰かということです。
デザインにもおおきな影響がある項目です。
予算
中小企業のサイトリニューアルの予算は実際に必要となる予算と大きく乖離がある場合があります。早い段階でイメージしている予算感を共有してもらいましょう。提案できる幅もかわってきます。
また企業は部門ごとに年間予算を設定している場合が多く、ITや広報に使う年間予算の割り振りなどの提案するきっかけにもなるかもしれません。
公開希望日
公開予定日を確認しましょう。
ヒアリングしていくなかでスケジュールに無理が出るような場合、早い段階で調整しましょう。
これは中小企業の方が多いのですが、確認しておかないと印刷物への告知があったりと思わぬ落とし穴があります。
デザインについてのヒアリング
サイトリニューアルに伴うデザイン作業は多岐にわたります。
クライアント側の作業、制作側の作業、見積に含まない作業と明確にすること、クライアントに理解してもらうことが重要です。
参考サイト
複数サイト上げてもらう方がいいです。
全体の雰囲気なのか、コンテンツなのか、デザインなのか、どういった点がいいと思うか具体的にヒアリングしていきましょう。
配色について
コーポレートカラーがあるかもしれませんが、イメージしているカラーをヒアリングします。
「青色がいい」と言われても青色にも幅があり与える印象が変わります。
コンセプト、ターゲットからクライアントの希望する色とのズレがあるような場合は、提案しましょう。白ベースでアクセントで青色を使うような場合など印象は変わるのですり合わせていきます。
素材について
デザイン進めるうえで必要となる素材の制作やクライアントからの提供してもら素材について。
素材準備についてはスケジュールにも影響出る箇所になります。
ロゴについて
クライアントからロゴデータは支給されますか。また、それはパスデータですか。ロゴデータのレギュレーション(使用ルール)はありますか。当たり前のようなことですが、中小企業の場合、管理されていない場合もありますので確認しておきましょう。
またサービスサイトの立ち上げの場合、サービス名称が決まっていなかったり、ロゴ制作が必要になる場合もあります。
写真・イラスト素材について
撮影が必要か既存素材を流用するのか(権利、サイズなど含め流用可能なのか)確認します。
撮影の有無、イラストの描き起こしは見積にも影響がありますので、クライアントとしっかり認識合わせを行います。
サイトリニューアルの場合、既存サイトの素材を流用するクライアントもいますが、サイト構築時の契約によっては素材流用を禁止していたり、基データは買取といった事もあります。この点についても、しっかり確認しましょう。
コピー・原稿について
写真、イラスト素材と同様に確認しましょう。
よく「あたりで配置したコピーがそのまま使われる」といったこともありますので、どのように準備するか話し合いましょう。
他ツールへの影響
サイトリニューアルに伴い会社パンフレット、チラシや名刺、Web広告など修正や変更が必要になる可能性も確認しましょう。
また、制作されている会社パンフレットやチラシ、ランディングページなどのデザインを考慮する必要があるか確認します。
デザインの確認と承認フロー
どういった流れでのデザインの確認、承認がされるのか、またクライアントの社内確認に必要な時間も確認しましょう。確認に時間がかかる場合、スケジュールに反映しておく必要があります。
担当者・決裁者の好みのサイト
担当者、最終決裁者が好きなサイト、嫌いなサイトを考慮する必要があるか判断分かれるかもしれませんが、中小企業の場合は特に最終決裁者の意見が大きく影響する場合もありますので聞いてもいいかなと思います。
機能・仕様のヒアリング
今回はCMSや対応ブラウザ、バージョンなど一般的な制作側ヒアリングとしています。システム要件が強い相談の場合は、深い知識が必要な提案が必要となる場合が多いためシステム側の人間の同席が必要かと思います。
CMSの導入について
CMS導入の有無を確認しましょう。
Wordpress、Movable Type、Joomla、Drupalなどざまざまありますが、現状中小企業が導入しているCMSではWordpress一強という印象です。
CMSを導入する場合、CMSや利用プラグインなどのアップデートをどうするかなど考慮する必要があります。
CMSを利用したサイトリニューアルについては、別途まとめてみる予定です。
サーバーについて
CMS導入が決まっているようであればサーバースペックの確認も必要になります。最近のサーバーであれば、CMS導入はほとんど問題ありませんが、一部古いサーバーだったり、最低限の契約プランだったりするとCMSの導入ができない場合があります。
対応範囲について
サイトリニューアルに伴う作業は多岐にわたります。
クライアント側の作業、制作側の作業、見積に含まない作業と明確にして置くことが重要です。
対応言語
日本語以外の言語サポートを行う必要があるか確認しましょう。
日本語サイトと同じボリュームではないにしても、海外向けコンテンツがある企業もあります。しっかり確認しておきましょう。
日本語以外の対応言語が必要な場合、文章打ち込み、コピペでの作業漏れ、作業ミスが発覚しにくくなりますので、どのようなフローで確認となるか相談しておきましょう。
対応OSについて
明確に表示確認するOS環境を定義しておく必要があります。この部分を軽視してしまうと表示確認や対応に多くの工数が必要になってしまう場合があります。
大手クライアントや国の仕事の場合、OSとバージョンの組み合わせ、アクセシビリティの関係などさまざまな理由で古い端末対応の相談もあります。その場合、確認環境(環境構築が可能かどうかも含め)の構築など予算に影響がでるので注意が必要です。
対応ブラウザについて
対応OS同様に、確認するブラウザのバージョンを明確に決めましょう。
数年前に比べ古いブラウザへの対応は減ったと感じますが、いざ古いバージョンのブラウザ対応が必要になる場合は、対応OSの話と同様に環境構築から考慮した予算が必要になります。
対応スマートフォンについて
他の対応同様、テスト、確認に大きく影響します。
また、日々増えていく新しいスマートフォンへの対応は現実的ではありません。自社で対応できる範囲を基本に、その対応範囲での妥当性をクライアントと協議し決定しましょう。他の対応OS、ブラウザ同様に確認端末が多岐にわたる場合、確認環境の整備をどうするかも考える必要があります。
対応タブレットについて
タブレットについても考慮する必要があります。スマートフォン同様に実機確認を行う場合、準備なが大がかりになります。クライアントと協議して決定していきましょう。
パソコン版を表示するか、スマートフォン版を表示するかを決め、その範囲での確認とする場合も多くあります。
SEO対策について
中小企業の場合、SEO業者が関わっている場合も多いです。
現行サイトがどのようにSEO対策を行っていて、リニューアルに伴いどのよにSEOを考えていくかクライアントと協議が必要になります。場合によっては、SEO業者を交えての話し合いが必要かもしれません。
SEOはサイト構造、metaタグ、文章などサイトに広く影響あります。
そのためリニューアル後、リライトなど再度全体のチューニングが必要になる場合、SEO業者からさらに費用が発生するようなことが無いよう調整したいところです。SEOを重要視しているクライアントの場合、SEO関連の調整に手間取る事があります。
SNSまわりについての確認
Facebook、Twitter、InstagramなどSNSをすでに利用している場合、サイトリニューアル時に考慮しておく必要があるか確認しておきましょう。SNSを利用していない場合は、提案材料になるかもしれません。
運用・管理についてのヒアリング
運用と管理の面から構築時に考慮しておく箇所もあります。
更新作業など誰が運用するか
特にCMSを導入する場合、どういった形で更新するかでCMSの構成を検討する必要があります。基本的には、担当者のスキルレベルに影響ないよう構築する必要があります。マニュアル制作が必要だったり、突き詰めていくと運用代行の方が良い場合もあります。
またSNSを利用する場合は、どういった場合にどのSNSを更新(投稿)するかなど管理ルールなどを一緒に考える必要があるかもしれません。
アクセス解析やサイトの改善提案について
基本的にサイトリニューアルについては公開完了したらいったんお仕事としては終了です。
しかし、その後のアクセス解析やその結果からの改善などどのように行っていくか考えておく必要があります。
よく「サイトは構築がゴールでなく、その後のPDCAが大切」と言われますが、実際にこの部分をしっかり遂行できる制作会社はすごいなと思います。
担当者・窓口について
ヒアリング後、すぐ必要となりますが担当窓口の確認をしましょう。また、サイトリニューアルに関わるグループを確認します。必要によってはグループメールを作ってもいいかもしれません。
ヒアリング項目をまとめてみて
整理するため細かく書き出してみましたが、まだ細分化できる項目も多くあると思っています。
大きなポイントを押さえておけば、細かいヒアリング項目はクライアントとの会話から引き出せると思います。
ヒアリングは機械的に聴くためのツールではなく、備忘録としてクライアントと共有し会話の中から本当に必要な機能だったり仕組みを聴きだすツールと考えています。